ふるさと納税

泉佐野市長「合理性がない」自治体も困惑…ふるさと納税“ルール厳格化”の背景は(2023年9月25日)

来月からルールが厳格化され、多くの返礼品の寄付額が引き上げられる『ふるさと納税』。新たなルールに困惑する自治体も出ています。

福岡・飯塚市の『オアシス珈琲』が出している返礼品が、特許を取得した独自の洗浄技術で、えぐみの元を取り除いているという『きれいなコーヒー』。来月からは、これまでより3000円多く、寄付しなければ手に入らないようになります。

『オアシス珈琲』石川高信社長:「本来で言えば1万8000円くらいの値上げになるが、あまりにも値上げ幅が大きいので、リピーターの人が許してもらう金額で、1万5000円を想定している」

また例年は、年末に向けて需要が高まりますが、新ルールの影響で、早くも注文が殺到しています。

『オアシス珈琲』スタッフ:「駆け込みで需要が高まっているので、従来の+50%は(件数が)出ている」

これまで総務省は自治体に対して、返礼品の調達費や送料など、経費の総額を寄付額の5割以下とする基準を設けていました。ところが、寄付の受領証明書の発行費用や一部の事務費などは含めずに報告していた自治体もありました。来月からは厳格化し、これらも含んで5割以下となるよう通達しました。その分、返礼品自体に、しわ寄せが出た格好です。

石川高信社長:「ものすごく影響はあると実感している。どちらにしても、より多くの人に飲んでもらわないと意味がない。(引き上げの)決断を今回した。会社の利益が落ちたとしても、しっかり力を合わせてやっていきたい」

飯塚市では、一番人気の返礼品も寄付額を5000円引き上げます。総務省が改定した、新たな5割ルールは、それだけ多くの寄付が経費に消えていたということ。

松本総務大臣(6月当時):「地域経済の活性化を図ることが重要。今回の改正で、ふるさと納税本来の趣旨に沿った運用がより適正に行われるものと考えている」

とはいえ、ある調査によりますと、全国で約7割の自治体が、経費を圧縮しない限り、このままだと5割を超えてしまうといいます。つまり、これまでと同じ寄付額では、これまでと同じ返礼品を受けられない可能性が高いということ。

街の人:「お得感は減ると思う。内容が減ったりとか価格が上がったり。それ聞いて、昨日ふるさと納税を今年分やりました」

大阪・泉佐野市は、昨年度までの寄付受け入れ額の累計が1143億円と全国トップ。その人気を引っ張って来たのが、氷温で熟成した、お肉。ところが、この熟成肉は来月から、ふるさと納税の対象から外されます。熟成肉と精米についてもルールが改定されたからです。これまでは、海外から輸入したものでも、別の都道府県でつくられたものでも、熟成や精米をした自治体で返礼品とすることが認められていました。しかし、来月から、原材料は同じ都道府県で生産されたものに限られます。

井澤健太朗アナウンサー:「泉佐野市にある、こちらの工場は去年、ふるさと納税の返礼品である熟成肉の製造のために作られました。その際、新たに10人ほどの従業員を雇い入れたということです」

いまや会社全体の売り上げの8割を、返礼品の熟成肉が占めるようになっていました。

『丸善食品』ふるさと納税担当者:「(Q.ルール改定を初めて聞いたときは)頭真っ白。どうしたらいいだろうと。事業所もそうだが、従業員を守りながら、どうやってこの先やっていこうか、何も答えが出なかったので」

泉佐野市は、熟成肉を新たな特産品とするため、加工工場を誘致してきました。最初の工場がオープンした時は、市長もかけつけました。

泉佐野市 千代松大耕市長(2021年):「地域雇用の創出、地域経済の活性化。泉佐野市の新しい地場産品、熟成肉を全面的にPRしていきたい」

泉佐野市役所では、ふるさと創生課の前に『熟成肉・お米 最大の危機』と書かれたポスターが貼られています。

千代松市長:「(Q.一番問題だと思うところは)合理性がないこと。泉佐野市をはじめ、一部の自治体だけを“狙い撃ち”にした悪質な改正」

ふるさと納税をめぐっては、泉佐野市と国で、法廷闘争になったことも。返礼品の調達コストに関するルールを逸脱しているなどとして、総務省が泉佐野市を制度から除外しました。結果、泉佐野市は最高裁で逆転勝訴。制度からの除外は取り消されました。

今回の改定にあたっては、市の職員が25日に総務省を訪れ、協議の継続を求めたといいます。

千代松市長:「一番問題だと思っているのは、地方自治体のアイデアの幅を、総務省が次から次へと規制をかぶせてくることで狭めている」

市には昨年度、137億円の寄付がありましたが、熟成肉と精米を取り扱えないことで、今年度は32億円減少する見込みだといいます。

◆利用者・自治体への影響は?

なぜ今“厳格化”するのか。総務省の担当者に聞きました。

総務省担当者:「自治体に対する寄付は、もともと“応援・感謝”という趣旨。子育て支援や街づくりなどに使われるべきだが、返礼品や事務手数料などに寄付金が使われる割合が増えてきたので、是正する必要があった」

来月から変わる主な点は2つあります。

(1)事務手数料などの経費含め、寄付額の“5割以下”に
(2)『熟成肉』『精米』は、原材料が自治体が属する都道府県産に限る

(1)については、返礼品と送料などの経費を含めて寄付額の5割以下にするというルールは、もともとありました。ただ、寄付金の受領証明書の送料や、ポータルサイトの手数料など“隠れ経費”がかかっていて、これを加えると5割を超える自治体もありました。10月以降は“隠れ経費”を含めて寄付額の5割以下にしなければいけません。

(2)について、総務省の担当者はこう話しました。

総務省担当者:「『熟成肉』は何をもって“熟成”とするか判断がつきにくく、単なる冷蔵保存と区別がつかない。『精米』は精白という工程があるが、食品の十分な付加価値があるのか判断しづらい。『地場産品』を扱うことで、その土地の活性化を目指す、ふるさと納税制度の趣旨に合わない」

泉佐野市・千代松市長は「合理性がない。泉佐野市をはじめ、一部の自治体だけを“狙い撃ち”にした悪質な改正」との見解を…

-ふるさと納税

© 2024 貯蓄サイクル Powered by AFFINGER5