1人あたり、あわせて4万円が減税されるが、実は落とし穴がある。知らないと減税が受けられなくなる手続きがあるというが、一体どんなものなのか取材した。
まず、定額減税について街で話を聞くと、「5人家族、5人×4万円で20万円。子どもが3人なので、とてもありがたい」「電気代も上がるし、子育て支援とか保険料も上がる。生活はあまり変わらないと思う」などの声が聞かれ、意見は様々だが、減税は意識している様子だった。
しかし、ある落とし穴があることを知らない人も多いのではないだろうか。
ファイナンシャルプランナー・飯村久美さんは「自治体によって違いはありますが、約2300万人の人が、申請をしないと1人あたり4万円の恩恵を受けられない」と話す。
実は、納めた税金が4万円を下回った場合、4万円から納めた税金を差し引いた残りの分は、自治体から給付される。しかし、給付を受けるためには、自治体から送られてきた通知書に、振込口座などを記入して申請する必要がある。
ポイントは収入。政府の示したモデルによると、主に次の3つのケースになる。
まず「単身世帯で収入が210万円程度までの人」、次に「夫婦と子ども2人で収入が535万円程度まで」、さらに「年金生活の高齢夫婦で収入が355万円程度の人」など3つのケース。
対象者は2300万人にのぼるとみられている。
これを知らないと、戻るはずのお金が戻ってこないことになってしまう。
減税を受ける側の負担になるともいえるが、一方でさらに別の負担もあるということで、東京都内にある企業「Asobica」を取材した。
Asobica労務・総務担当・諏訪由日合さんは「定額減税という処理自体が初めてのことなので、部門全体で勉強会を行った」と話す。
理由は、政府が減額税を給与明細に明記するよう義務づけたこと。
この会社では、社員一人一人に対して、子どもの数や扶養家族の状況を改めて調査したという。
Asobica労務・総務担当・諏訪由日合さんは「社員は提出しているデータが正しければ、自動的に(減税に)なるけど、処理する人間としては、制度を理解したうえで、いろんな帳票の形が変わってくるので、それが今年限りのことだと結構負担かな」と話している。
こうした負担の結果、実現する定額減税に社員の人たちからは、「(減税分は)子どものために貯蓄というところが大きい」「朝の時間を有効活用しようかと。朝活に使いたいと思っている」などの声が聞かれた。
果たして岸田首相のいう「手取り増加の実感」は、期待できるのだろうか。
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