■返礼品の量が少なくなる?
何が変わるのでしょうか。元々、返礼品を用意するための必要経費を寄付額の5割以下に抑えるルールがありますが、これまでそこに含まれなかった諸費用も来月から必要経費に算入されることになります。必要経費を5割以下に抑えるためには全体の寄付額を上げる必要があります。
北海道白糠町 ふるさと納税推進係 神田貴史係長:「なんとかこれ以上の寄付額の値上げというか変更は避けたいと思っている」
例えば、北海道釧路市の想定では「訳アリたらこ切子」は、これまで9000円だったものが1万2000円に。そうなるかもしれません。
もう一点、熟成肉と精米の扱いが変わります。
大阪府泉佐野市 ふるさと納税担当理事 塩見健氏:「驚きと困惑と本当にびっくりしました」
これまでは地元で熟成や加工した食品なら生産地は問われませんでした。それが、熟成肉と精米については来月から原材料がその都道府県内で生産されたものに限られます。
大阪府泉佐野市 ふるさと納税担当理事 塩見健氏:「想像もしていなかったようなルールが入ってきて、そういった熟成肉とか精米したものは一切出せなくなる。約32億円を超えるくらいの寄付額になる」
そもそもこの制度…。
菅義偉総務大臣(当時):「ふるさと納税制度。人と、そしてやはりお金の流れを変える」
制度の理念は…。
菅義偉総務大臣(当時):「中央部との格差の問題、地域の活性化」
■ふるさと納税 来月“ルール変更”
しかし、検討段階から疑問視する声がありました。当時の松沢神奈川県知事です。
神奈川県 松沢成文知事(当時):「地方自治体間の財政力の格差というのは本来、地方交付税で調整すべきもの。格差が出てきたから今度、住民税か地方同士の税で調整しなさいというのは本末転倒であると思います。国が責任放棄していると」
そして、自治体同士の寄付獲得合戦に発展する可能性も予見されていました。しかし…。
菅義偉総務大臣(当時):「(Q.アピール合戦に?)当然出てくると思います。それは地域の活性化に大きく貢献するのではないか。やはり駄目な地域は応援しませんから、やる気のある地方を応援しようと」
むしろ、獲得合戦を奨励していたようにも聞こえます。
宮崎県都城市 ふるさと産業推進局 野見山修一副課長:「そこで、いわゆる返礼品で争うような形に一部は見えてきたというところはあるのでは」
かつて総務官僚を務めた人は…。
室伏政策研究室 政策コンサルタント 室伏謙一代表:「結局これ、地方公共団体間で足りない財源を取り合えと言っているのと同じ」
今回の改正は寄付額に占める必要経費を抑制しようという趣旨。諸経費を含めて5割以下に。しかしこれは裏を返せば、せっかく寄付をしても5割近くは財源にならず、経費に消えてしまうということを意味しています。
室伏政策研究室 政策コンサルタント 室伏謙一代表:「ふるさと納税のプラットフォーマーを使わざるを得ない。ふるさと納税として納めた2万円なら2万円全部が地公体に行くわけではない。一言で言えるのは地方税制度のゆがみだと思う」
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