トランプ大統領が打ち出したカナダやメキシコの輸入品への25%の関税や、中国への10%の追加関税の発動を4日に控える中、世界経済の混乱への懸念が強まりました。
今分かっている新たな関税はメキシコ、中国、カナダのアメリカ輸入相手トップ3となっているわけですが、5位の日本に対してはどうなっていくのでしょうか。
様々な品目がありますが、日本の産業をリードする大きな柱「自動車」を例にとって見ていきます。
例えば、メキシコからアメリカに輸出する場合、自動車や他にも農産物や電子機器などもありますが関税は25%。
これはあくまでメキシコ・アメリカ間ですが、日本にどう関わっていくのかを様々な方向から見ていきます。
まずメキシコには工場があり、日本の自動車メーカーではトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダの4社が構えているということです。
例えば、ホンダはアメリカの販売に占めるメキシコで作った車の割合が1割、マツダも約2割ということで、メキシコは重要な拠点であることがうかがえます。
フジテレビ経済部の智田解説副委員長によりますと、メキシコは人件費が安いということが挙げられ、重要な生産拠点と位置付けてきた側面があり、計画の大幅な見直しを迫られる可能性があるといいます。
さらには、メキシコで作った車をアメリカに輸出する際の関税が現在の0から25%になった場合は収益全体、大幅な減少につながる可能性があるということです。
青井実キャスター:
当初脅しではないかと言われていたんですが、実際に動き出したわけですけど、どうみますか?
SPキャスター パトリック・ハーラン氏:
公約どおりに動いているように見えますが、多くの方は現実味がないから公約を守らないと思っていたんです。ショックを覚えている方はアメリカ国内外に多いんです。
特に日本企業にとって、TPPを結んでくれたオバマ政権があり、日本の企業は関税撤廃だと期待していたんですけど、そのあとトランプ氏になってオバマ氏の条約を離脱したんです、破棄したんです。でも、今回は北アメリカ貿易協定っていうトランプ氏が再交渉した、合意のもとで関税がない状況から、自分の約束を破って関税を設定しているから、これは裏切られたと感じる日本の自動車メーカーも企業も多いかなと感じます。
青井実キャスター:
日本から直接輸出する時の関税が変わったらどうなるのかですが、トランプ氏は大統領選挙で「全ての国からの輸入品に10%から20%の一律関税の導入」というのを以前訴えているわけですよね?
ここまでは日本以外のメキシコなどの話をしましたが、日本でも高い関税がかかる可能性が出てくるのか、詳しく見ていきます。
先ほど自動車の話を例に出しましたが、マツダのアメリカでの販売傾向を見ると、日本の工場で作って輸出をしたのが全体の割合で半数以上。
例えば日本からアメリカに自動車を輸出する場合の計算をしていくと、現在、自動車の関税は2.5%。
単純計算でいうと、200万円だったら2.5%であれば205万円。
これが10%であれば220万円、20%になったら240万円。
日本で作った車が高くなるということは、純粋に売れなくなる可能性もあり、影響が出てくるかもしれないということです。
そして、智田解説副委員長によると、今回の3カ国に対する関税強化で、世界経済は混乱するという心配が株価を押し下げているということです。
この先、日本からの輸入品への関税も引き上げられるような事態になれば、国内景気への影響は深刻なものになって、せっかく高まりつつある企業による賃上げの機運に水を浴びせる可能性もあるのではないかという指摘です。
遠い国のことというわけではなく、私たちの生活にも密接に結びつくことなんです。
青井実キャスター:
今日まさに日経平均も1100円下げましたからね。
SPキャスター パトリック・ハーラン氏:
この衝撃が来ることが分かってマーケットが動いていない時に発表したとも考えられますけど。これから日本に対する関税引き上げの圧力はかかると思います。なぜなら今は日本で車を作った方がメキシコとかカナダで作るよりも安いです。さらに、アメリカのメーカーもメキシコとカナダの部品に頼っているから、多い時は8回も国境を越えて1台の車を仕上げるから、いろいろ重なってアメリカの自動車メーカーでも結局コストがかかっているんですよ。夢ではない悪夢の話がそこまで来てるんです。
青井実キャスター:
そういう意味では7日に石破首相はトランプ大統領と会談しますから、そこの手腕も問われてきますね。
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