■江東区 返礼品付きのふるさと納税を開始
30代(港区在住)
「(Q.どこにふるさと納税した?)基本は地元の福岡。北海道もしました。ホタテとか」
30代(町田市在住)
「北海道と長野県です。北海道はサーモン。長野だとおやきとか果物です」
住んでいる地域とは別の所へ税を納め、その金額に応じて返礼品を受け取ることができるふるさと納税。地方の活性化に役立っているという声がある一方で、深刻化しているのが都市部の税収の流出です。
50代(品川区在住)
「都内で何か(返礼品)っていうのは正直…たとえ何かあっても、自分で買いに行けばいいかなという感じ」
総務省によりますと、今年度ふるさと納税を利用して住民が他の自治体に寄付を行った影響で、最も住民税の税収が減る見通しの自治体は横浜市。流出額は、およそ304億円に上ります。
続いて、名古屋市でおよそ176億円。大阪市でおよそ166億円。そして川崎市、世田谷区と大都市や東京23区の自治体が並びます。
こうした事態に、東京都は国へふるさと納税制度の抜本的な見直しを求めています。
小池百合子東京都知事
「ふるさと納税というのは、受益と負担という地方税の原則を歪めているという認識であります。本来“寄付”という精神を根付かせたいというところからかけ離れ、“官製通販”みたいな制度になっている」
実際に税収の流出が多い自治体では…。
江東区政策経営部
シティプロモーション担当課長
森澤友貴さん
「今年で(およそ)54億円の流出(見込み)です。毎年、厳しい状況になっています」
こう話すのは、東京・江東区。そもそも、ふるさと納税制度自体に反対の立場ですが、流出額は増える一方です。背に腹は代えられず、先月から返礼品付きのふるさと納税の受け付けを始めました。
森澤さん
「江東区の伝統工芸である江戸切子、キッザニアや万葉倶楽部の体験型の返礼品を用意しております」
■川崎市の逆襲 体験型&日用品で巻き返し
住民税の流出に、悲鳴を上げている自治体は他にもあります。流出額が全国4位の川崎市。およそ136億円の税収減となる見通しです。
川崎市財政局資金課
大島崇担当課長
「年間のごみ収集とか、ごみ処理にかかるのが150億円かかるので、9割くらいの(金額)になっている」
川崎市もふるさと納税制度の問題点を訴え続けてきましたが、市民生活に影響が出かねない事態に、市長からこんな言葉が出ました。
福田紀彦川崎市長
「私たちも本格的に(ふるさと納税に)参入していく。しっかり稼いでいこうということ」
市長の命を受けて、慌ただしく動いているのが、財政局資金課の「ふるさと納税チーム」です。
返礼品として人気の農産物や海産物はあまり多くない川崎市。その代わりに目を付けたのが、市内に数多くある企業や工場です。
大島担当課長
「一次産品みたいなものではなく、工業製品がいろいろある。そうしたものの中から一生懸命、返礼品を見出している」
この日は、市内に本社を置くオーディオ機器の製造会社と打ち合わせを行いました。
川崎市
「ユーザーから、あれもふるさと納税にならないのかという声はあった?」
企業
「(要望の声が)あったので、増やしていければいいかな」
返礼品に協力することは、企業側にとっても大きなメリットがあるといいます。
株式会社Final 木村明人さん
「返礼品として参加すると、ふるさと納税の方からお客さんが来たり、ファイナルを知っていただけたり、すごくメリットになる」
川崎市はモノだけでなく、体験型の返礼品にも注力しています。それが、2階建てのレストランバスに乗り、美しい工場の夜景を見て回りながら食事を楽しむディナーツアーです。
その他、航空会社・ANAの機内食工場を見学するツアーや、川崎市内も走るJR南武線の車両メンテナンス体験なども出品。また、寄付金額の少ないトイレットペーパーや洗剤といった日用品も人気だといいます。
■返礼品に市営バス!? 寄付金額1300万円
さらに市が新たに用意したのが、実際に市内を運行していた市営バスです。寄付額は1300万円ですが、早くも問い合わせがあったといいます。
川崎市交通局 大和田慶さん
「やはりバスの好きな方が全国にいらっしゃるので。現時点においても、全国から返礼品の問い合わせがきている」
ふるさと納税チームの大島さんは、バラエティに富んだ返礼品を用意する過程で、川崎市のさまざまな魅力に気づくことができたと話します。
大島担当課長
「川崎市自体が観光地というと、やっぱり少し弱い。ただ、川崎にも実は面白いところがあるというのが、ふるさと納税の返礼品をきっかけに、いろいろと知ることができた。今後もいろいろと発掘していきたい」
(「グッド!モーニング」2024年11月30日放送分より)
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