■大接戦のはずが“短期決着”の理由
小川彩佳キャスター:
投票前は全体の世論調査でハリス氏がリードしており、7つの激戦州のうち2州でもハリス氏が優勢と伝えられていました。しかし、ふたを開けてみれば、日本時間6日午後9時現在、すべての州でトランプ氏が勝利か優勢となっています。
もっと大接戦で、結果が出るのは遅くなるのではないかといわれていましたが、これだけ早く出てきました。何が起きているのでしょうか。
樫元照幸 ワシントン支局長:
注目された激戦州で大きな差がついたという一言に尽きます。
ペンシルベニア州は最大の注目とされましたが、日本時間6日午後9時現在、約16万票の差があり、これは前回の約2倍です。
南部ジョージア州では、ハリス氏とトランプ氏の得票差は12万票弱です。前回は1万2000票弱ぐらいだったので、約10倍ということになります。
それだけハリス氏の支持が広がらなかった、ハリス氏には人気、地力ともなかったということに尽きます。若者や黒人、ヒスパニックをポイントとしていましたが、いずれのカテゴリーも、トランプ氏に相当な票が流れたとみられています。
最大の争点となった経済、そして不法移民問題は、最後まで批判の対象となり続けました。ハリス氏は「ページをめくろう」という前向きなメッセージや、変化、チェンジを前面に出して訴えましたが、有権者には響かなかったということです。
小川キャスター:
この支持の動きは、メディアも読み切れなかったところがあるのでしょうか。
樫元照幸 ワシントン支局長:
全体としては、サプライズはそれほどありませんでした。共和党が取るだろうと思われていた州を、民主党が取ったということはありません。
7つの激戦州の結果が左右するだろうという点は、見通しどおりだったわけです。しかし、その中身で相当な差がついたのはサプライズで、メディアもここまで読み切れてはいなかったのではないかと思います。
渡辺靖 慶應大学教授:
私も驚きました。トランプ氏が強いというよりは、ハリス氏が弱かったように思います。
バイデン政権の今の支持率は4割で、有権者の6割以上が、アメリカは悪い方向に行っていると言っています。やはり全体として政権与党に対しての逆風が吹いていたのだと思いますし、ハリス氏は当然、副大統領として連帯責任を問われる立場にありました。
バイデン氏から選手交代した当初は期待や刷新感もありましたが、「いったい何をするのか」「バイデン氏とどう違うのか」「なぜこれまでやってこなかったのか」と問われたとき、ハリス氏は上手く答えられていなかったと思います。やはり予備選を経験していないので、どう対応すればいいか、わからないところがあったのではないでしょうか。
■“隠れハリス”はいなかった? トランプ氏の経済対策が刺さったか
藤森祥平キャスター:
一方でトランプ氏は、大統領経験者としては史上初めて刑事事件で起訴されました。しかも、4つの裁判を抱えています。
それでも“隠れトランプ”が多かったのか、“隠れハリス”はいなかったのか、いかがでしょうか。
樫元照幸 ワシントン支局長:
“隠れトランプ嫌い”がどれだけ伸びるかと思っていたのですが、伸びなかったということです。
たとえば南部の保守的な地域には、家族全員がトランプ氏を支持している一方で、女性の権利を大事にするハリス氏を支持したい“隠れハリス”の女性がいるのではないかということで、民主党は働きかけ、CMを打つなどしてきたわけですが、結果に影響を与えるような数に至りませんでした。
副大統領としてそれほど人気がないハリス氏を担ぎ出すことになりましたが、刷新感を演出しただけで勝てるほど、アメリカ大統領選挙は甘くないということです。
小川キャスター:
ハリス氏が候補となった当初は、初の女性で、しかも白人ではない大統領が誕生するのではないかという高揚感もあったように思います。
渡辺靖 慶應大学教授:
高揚感はあったと思いますし、私は女性がアメリカの大統領になる素地はあると思います。
ただ、今回の選挙戦でハリス氏は「女性である」と言いませんでした。言ってしまうと、かえって反発を買うかもしれないからということです。
本当は、その部分はもっと誇ってもいいことかもしれませんが、ハリス氏が前面に押し出せなかったところに、やはりまだアメリカの“ガラスの天井”はあるのかもしれません。
藤森キャスター:
アメリカの現状をみてみると、歴史的な物価高といわれています。
ガソリンの価格(1ガロン=約3リットルあたり)は全米平均で、2020年の約2ドルから、2024年は約4ドルと2倍になっています。
アメリカではガソリン価格は何よりも身近なもので、全米平均で1ガロン3ドル…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20241107-6201075)
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