■世界各国から…活動家ら3万5000人集結
ドイツ西部にあるリュッツェラート村。人口100人ほどの小さな村で今、およそ1万5000人もの警察官が出動する事態が起きている。
ドイツ政府は以前から、「脱炭素」を政策として掲げてきた。
しかし、ロシアのウクライナ侵攻の影響でエネルギー価格が高騰。ブルームバーグによると、年間契約の電力価格は2年前の5500円から、7万4000円へと10倍以上に跳ね上がった。
ドイツ ハーベック副首相(ニューヨーク・タイムズ 去年10号によると):「プーチンの侵略戦争によって、一時的に石炭の利用を増やさざるを得ない。ガス不足を考えると必要なことだ」
政府は打開策として、およそ1億1000万トンもの石炭が地下にあるとされる、リュッツェラート村の採掘を推進することにしたのだが、石炭採掘は脱炭素化にそぐわないと環境活動家が反発した。
顔を隠した活動家らが屋根に登り、発煙筒をかざして威嚇したり、警察官の行く手を阻むように人間の鎖を作ったりして、道をふさいだ。
さらに、ドイツ国内だけでなく、世界各国から活動家が村に集結。ドイツメディアによると、その数はおよそ3万5000人にも及ぶという。
■グレタさんも抗議「大きな責任ある」
その中には、あの環境活動家の姿もあった。それが、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんだ。
グレタさん:「皆さんは希望の印です。リュッツェラートで起こったことは、ここだけにとどまりません。ドイツには、大きな責任がある」
活動家らの抗議活動に対し、ドイツのショルツ首相は、次のように話す。
ショルツ首相(14日):「暴力的な抗議は、抗議活動とは一線を画している」
■ドイツ国内での“受け止め”は…
ウクライナ情勢によるエネルギー危機への打開策として、石炭採掘を推進することで、「脱炭素」政策に逆行する状況となっているドイツ。この状況についてドイツ国内では、どのように受け止められているのか。
ニューヨーク・タイムズによると、2019年の世論調査では、73%が「石炭の使用をやめることを支持」していたが、2022年夏の調査では56%が「石炭火力発電所の再開に賛成」し、世論にも変化が起きはじめている。
ドイツの情勢に詳しいマライ・メントライン氏に話を聞いた。
独・公共放送プロデューサー マライ・メントライン氏:「クリーンエネルギーにシフトしていきたいっていうのは、変わらないと思うんですけど。(ただ)ロシアのウクライナ侵攻によって、状況が完全に変わってしまったので、優先順位は一時的に変えてもいいよねっていう、国民性があると思うんですよね」
(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年1月16日放送分より)
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